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図2 成人の日常歩行の筋電図。

筋電図上段の黒い横棒は接床期(立脚期)
筋電図下段の白い横棒は離床期(遊脚期)を示している。
筋電図上段の黒い横棒は右足が地面に接している接床期(立脚期)、白い横棒は右足が地面から離れている離床期(遊脚期)を示している。
後足が床から離れる寸前に、大腿の前方挙上(股関節屈曲)に働く太もも前面の大腿直筋、足首の曲げ(足背屈)に働くすね前面の前脛骨筋に集中した放電(burst)がみられた。また、着地前後において着地の際の衝撃を吸収するため、ふくらはぎの腓腹筋を除く他の下肢筋に集中的な放電がみられた。
一方、接床期の後半、踵押し上げ(Push off)に働く腓腹筋に集中的な強い筋放電がみられ、これが前進力を生み出していることがわかった。しかし、この間他の下肢筋にはほとんど放電が認められないのが、成人の日常歩行の大きな特徴である6-9)。
日常歩行は速足歩行に比べ、離床期・接床期とも下肢の筋放電は弱く、軽い負荷運動であるが、長時間行なうことによって足先が床から離れる時に働く足背屈筋・股関節屈筋、踵が床に着く時に働く足背屈筋、膝・股関節伸筋、踵押し上げに働く足底屈筋にはかなりの負荷がかかり、十分な運動となることが考えられる。

2. エクササイズウォーキング

図3は、成人のエクササイズウォーキングの筋電図である。
この歩行は大股速足で歩くことが大きな特徴である。
大股速足のエクササイズウォーキングは日常歩行に比べると、離床期・接床期とも下肢筋の放電が増大する傾向がみられた。特に前進力の得られる踵押し上げ(Push off)時、日常歩行ではみられない膝関節伸展に働く大腿四頭筋の内側広筋・大腿直筋、股関節伸展に働く大殿筋に集中した放電が認められた9)。この踵押し上げ時、膝・股関節に働く二関節筋(二つの関節に働く筋)の大腿直筋に放電がみられる間、拮抗筋(反対の働きをする筋)である太もも後面のハムストリングス(大腿二頭筋)の放電は減少・消失し、拮抗筋抑制と考

 

 

 

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